2008年11月29日

漫画『鉄と天馬 福本伸行作品集』

【無頼な風鉄】

出来レースを演じることに嫌気がさしたジョッキー久我井鉄雄は、
大事な金を出してくれるファンに競走馬に申し訳が立たないと反目。

社会のせいにして、己を省みなかった自分を変えてくれた競走馬。
自分の惚れ込んだ馬にだけ乗りたがる不器用な鉄雄は、地方競馬で
ジョッキーを落っことし暴走するバロンイーストに出会う。
バロンの野生的で、並外れた追い足に魅せられた鉄雄は、
バロンを乗りこなし、本来の力を引き出してやりたいと考える。

リスクがあってこその勝負だ。
傷つくことを恐れたらそれはただのレジャー。
意志こそ勝負の要。勝つことへの意志が勝負を決す。
意志ある夢を追うのが競馬だ!! 

勝負の世界に本気で臨む鉄雄とバロンは、己のプライドを懸けて
今日もパドックを駆け抜ける。
人間や競馬界の暗部も描いた傑作。
自分の意見を持っている鉄雄の吐き出すセリフが心地よい。

【熱いぜ天馬】

天性の麻雀の才能を持つ天馬は「大三元の天明がある」と
麻雀プロ連盟の会長にいわしめた天才麻雀少年。
深夜麻雀を貫徹することで、午前中は爆睡というダメ少年だが
根っこは腐っていない熱血漢の天馬の下に次々と麻雀自慢の
敵が現われる。基本的に敵キャラの言動や卑怯な所や
天馬のセリフの感じなんかはすごく「コロコロ」っぽい。
根っこの腐ったうさんくさい薄っぺらいキャラが多く登場し、
それを天馬が打破し、バシッと決めゼリフを言うのが特徴。
人の汚い感情や、麻雀の見せ方や発想は福本作品だなぁと思う。

【星降る夜に】

父が死んで、幼かったあの日の出来事を思い出す主人公秀一は、
神社の鳥居の上に登り、弟と妹を心配させる。

あの日、ひ弱で幼かった兄弟そして妹は父を殺そうと思った。
いつも不機嫌で暴力を振るい、嫌味をつらつらと述べる父は、
兄弟たちにとって恐怖の対象であり、憎まれる存在だった。

家を飛び出した兄弟たちは、あの日神社の鳥居の前で話し合う。
父を殺そうかどうしようか?を10円玉の裏・表で決めることに
した秀一。あの日の父と同い年になった秀一は、あの日の
出来事を思い出しながら、父のことを改めて考えるのだった。
実に感慨深いよい作品。泣ける。

【次男のブルース】

26歳の隆行は結婚をすることになり、疎遠になっていた父に
結婚資金の無心に軽い気持ちで出かけることにした。
父と母は、10年近い別居を続けていて正式に離婚することになり
財産分与が起こったことや、父が隆行に会いたがっていたと
兄から告げられたからだ。しかし、結婚の重みや父の面倒を見る
という責任に対して隆行はどこか軽く考えていたようで……。
なんかせつなくてほろ苦い作品。

BAMBOO COMICS  (株)竹書房発行。
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 07:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画短編集・傑作選 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック



全ての道は漫画道に通じる
漫画を読みながら
戦争はできない
漫画& 漫画と共に生きる
わが漫画ライフに
いっぺんの悔いなし!

【安寿】管理人
 自称「漫画のソムリエ」
 埼玉出身、趣味でブログ
 をやっています。
 漫画以外だと
 生駒里奈さんと
 松井秀喜さんと
 ずんの飯尾さん、
 犬と猫、フクロウ、
 音楽鑑賞と読書、
 昼寝、お笑い、
 風呂と温泉、旅行、
 本屋が好きです。
 
 幼少の頃から
 漫画が大好きだった私が
 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しませんでした
 そして、
 実際なりませんでした。