2019年05月17日

漫画『ランド』山下和美

不老不死の夢を叶えた超科学的近未来の世界と
4人の神様による恐怖世界が実行されるふたつの世界。
「この世」と「あの世」を知るのはごく限られた者。
恐怖によって支配される弱い人間の姿。
あえて不老不死を選択しない者の生き方。
その存在を知らされず死におびえながら生きる者。
大災害による奇跡の生還を果たした双子。
彼らの死生観に多大な影響を与え
双子は株式会社ランドで新世界を創出した。

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山に生贄(いけにえ)を捧げる役目を持つ捨吉は、
その因果か実の子を山に捨てなくてはいけなくなる。
双子は凶兆。片方を神に捧げる。
つまり見殺しにしなくてはいけない。
捨吉は、片方の赤子をあきらめ、あえてアンと名付けた。
決して自分の罪を忘れぬため。
そしてその自責の念から自分の目をつぶした。
手元に残った子には杏と名付け大切に育てた。

掟を守ることが、何よりも尊ばれ必要とされる世界。
同時に、天守様、四ツ神様と言われる絶対的な存在が
はっきり目に見える。実害を受ける世界で構成員は
あっさり洗脳され掟に縛られ生きる。
権力者や同じ立場の者に迎合しなければ生きられない。

山の向こうにある世界は、不可侵の存在であり、
そこを超えたら実在する神、そして禁忌を恐れる人々、
為政者たちにより見ることを許されない。
杏はそんな世界で父である捨吉、そしてその妹真理ら
と共に暮らし生きてきた。
一方、巨大な鳥によって天空から落とされ
命を終えるはずだったアンは銀じいに助けられた。
山に捨てられたこどもらと共に恨みを抱き生きていた。
…そして歳月が流れた…

ある日杏は不思議な縁で「種」を手に入れた。
あの山の向こうには全く別の世界がある。
そしてこの世界にはたくさんの謎や矛盾がはらんでいる。
領主であるあやめが亡くなり、葬列が練り歩いていた。
その際に不思議なことに自分が隠し持っていた種の存在が
見破られ、それを取り上げられそうになる。
そんな混乱の事態に現れたのは異形の姿をしたこどもだった。
まるで天狗のようにアクロバティックな動きをするのは
生まれ落ちてすぐ離れ離れになったアンであった。
アンは自分を捨てた捨吉、そして杏を恨み生きていた。
たくさんの理不尽な現状、不思議な人物との出会い、
大切な人のピンチ、そして隠された世界の秘密に迫るため
杏は行動を起こすことにした。人類最大の発見にして
発明でもある言語(ことば)に想いを託す。

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時の権力者のほとんどが望んだとされる不老不死を
可能とした世界であえてそれを選ばなかった者。
そしてそんな生き方から何かを感じる者。
いけにえやそんな社会構造、人間たちのあり方に
対する疑問や怒り。生き方を問うこの作品は、
同著『不思議な少年』と同様に
名作『火の鳥』を意識した良作。
講談社モーニングKC 8巻〜 ☆☆☆☆
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 07:27| Comment(0) | ☆☆☆☆のおすすめマンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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