2015年09月26日

漫画『僕だけがいない街(僕街)』三部けい

容疑者と被害者は僕の知り合いだった。
でもユウキさんは犯人なんかじゃない。
そして、僕の言動次第では同級生を救えたのではないか。

千葉で漫画家をめざす藤沼悟は人づきあいが苦手なのは
北海道で体験した悲惨な事件が大きく関わっていた。
小学生連続誘拐殺人事件。
ひとりぼっちだった小学生の悟に的確なアドバイスをし、
ともだちの輪に加わるきっかけをくれたユウキさん。
しかし、殺人事件の犯人として捕まり、
無罪を主張し続けたまま数年後死刑は執行された。
悟は真犯人がいると思いユウキさんは冤罪だと信じていた。
母にもそう言っていたがつらい過去を忘れさせたかった母は
耳を傾けてくれなかった。
そのことが現在の母との疎遠につながっている。
また、殺されたのはともだちのヒロミ、
そして同級生の雛月、と近くに住む少女の3人だった。
ヒロミを孤立させず、自分たちともだちグループといっしょに
行動していたら、真犯人の魔の手から救えたのではないか?
彼は大きな後悔を抱えながら生きてきた。

29歳となり、ピザ屋でバイトしながら漫画家をめざす悟は
不思議な能力を持っていた。再上演(リバイバル)。
事件が起こる時間から記憶そのままで数分前に戻り、
やり直すことができる。
基本的に他人の為に発動するこの能力は本人にとっては
プラマイゼロかマイナスな結果をもたらすことが多い。
だが悟は動く。最悪の結末を未然に防ぐために。
もう二度と後悔したくないから。
自分の中の幼少期のヒーロー像を守るかのように。
ちなみに再上演が成功したら「正常」に時間は動き出す。
事故を未然に防いだことでケガを負った悟はバイト先の
片桐愛梨(アイリ)と親しくなる。
P2015_0924_183117.JPG

また悟の身を心配した母もやってきた。
リバイバルが発動した息子悟の言動によって、
母は誘拐事件を未然に防ぐ。
改めて過去の事件を回想した母は違和感を覚えた。
もしかしたら、悟の言うとおり、ユウキさんは冤罪。
真犯人がいるのではないか。ツテを頼り、改めて事件を
考察した結果、母は真相にたどり着いた。真犯人は…。
しかし、そんな母の手に魔の手が迫っていた。
あの事件は終わってはいなかった…。

母の最悪の結末を知った悟は犯人と思しき男を目撃し、
追跡するが、逃げられてしまう。
そして、これって最悪の状況じゃないかと気付く。
はた目には、まるで自分が犯人のようじゃないか。
ワナにはめられた…。そして誰何(すいか)する男の声。
史上最悪のピンチに陥った悟が見たものは、
かつて自分が生まれ育った雪国北海道のあの街だった…。

小学校5年生を再上演することになった悟は
後悔した過去を変えようと考えた。被害者となってしまった
同級生の雛月と仲良くなりけっして一人にさせない。
明らかに別人のようになった悟に注目する人物がいた。
母と同級生ケンヤ、担任の八代。
注目して雛月を観るようになった悟は
彼女が母親から虐待を受けているのではないかと気付く。
そして、過去の恐怖体験から雛月は母に殺された可能性を
疑っていた悟は雛月と急接近することにした。
事件が起こったとされる日に、魔の手から逃れれば
最悪の結末を回避できるはずだ。
悟は信頼を寄せる相手と共に計画を練ることにした…。
自分の言動によって、他者の行動が変わる。
再上演によって最悪の結末からの脱出はなるのか?
P2015_0926_053226.JPG

極上SFミステリー漫画 構成力が高くワクワクした。
展開が読めない新感覚サスペンス。
日常に潜む悪(狡猾な犯人、あいつ)に立ち向かう
決して強くないヒーロー悟。
そこにシビれるあこがれるゥ。
人が本来享受する安らかな時間を奪うことは罪深い。
ジョジョの荒木先生の弟子による渾身の一作。
6巻の32話『蜘蛛の糸』に関するあいまいな部分は
考察しがいがあるなぁ。
真犯人との直接対決も見逃せない。

全8巻 ☆☆☆☆★ 角川書店
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 05:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆☆☆☆★のおすすめ漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/426722734

この記事へのトラックバック



すべての道は漫画道に通じる
漫画を読みながら
戦争はできない
漫画& 漫画と共に生きる
わが漫画ライフに
いっぺんの悔いなし!
などを信条とするブログ

2943871(にくしみはない)
11028349(ひとにやさしく)

【安寿(あんじゅ)】管理人
 自称「漫画のソムリエ」
 主な生息地 埼玉
 漫画以外だと本と犬と猫、
 音楽鑑賞とカラオケ、
 昼寝、お笑い、風呂と
 本屋巡りが好き。
 幼少の頃から
 漫画が大好きだった私が
 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しなかった。
 そして、実際にならなかった
 スピッツ
 オアシス
 ミスチル
 back number
 ボンジョヴィ
 ガンズアンドローゼス
 ヴァンヘイレン
 KISS
 バンプ
 coldplay
 中島みゆき
 サラブライトマン
 マルーン5 
 The Wanted
 を聴いたりうなったり
 脳内で響かせている。