2015年01月25日

漫画『聲の形 こえのかたち』大今良時

退屈が大嫌いな少年石田将也は毎日度胸試しを送り
充実の日々を送っていた。しかし小学校六年生になる
友達はいい加減こんな危険な遊びやめようと諭す。
いっしょにバカをやる相手がいないと退屈で仕方ない。

そんなある日、転校生西宮硝子がやってきた。
彼女は耳が聞こえないのでノート(筆読)を通して
仲良くなりたいとその意思を告げた。
将也の中で彼女はまるで星の異なる住人のように感じ、
「変な奴」とつぶやきクラス中を凍りつかせる。

将也は硝子に執拗にちょっかいを出し自分の中の退屈を
満たそうとする。再三担任から注意を受ける将也だったが
その考えを改めようとせず、悪質ないじめを繰り返す。
『言葉の壁』は教室内にわずらわしいという空気を作り
いじめを率先する将也により、硝子は悲惨な日々を送る。

将也に追従するようにいじめに加わる者、
見て見ぬフリする者、硝子に手を差し伸べたことで
登校拒否に陥る者…。
この辺りがかなりキツメにリアルに描かれる。
特に将也が補聴器を奪い破壊し続けること8回。
そんなひどい境遇に陥りながら、
なぜか硝子は怒りを見せず登校していた。
しかし補聴器破壊総額170万という実害によって、
遂に硝子の母親が学校に相談にやってきた。

やりすぎた…。
実の母親に泣かれ、硝子の母に蔑まれ、
親友からは露骨にいじめを受けるようになった。
それでも自分をかばう硝子を足蹴にした将也は
硝子から反撃を受け、取っ組み合いの大ゲンカ。

1月後、彼女は転校し、その後残ってしまったのは
将也に対するクラスメイトからの非難の目と迫害。
そして、硝子がしてくれていた善意の行為を知ることに。
罪悪感に苛まれながらも彼が感じたのは
硝子への嫌悪感、逆恨みだった。

中学生になった際に、かつて親友だったはずの島田により
将也の悪事は露呈。そのことを否定しなかったので
彼は完全に孤立し、暗黒の青春時代を送ることに。
それすらも自分への罰なのかもしれない。
将也は簡単に想像できる暗い未来を想い描きながら
高校三年生になった。

人は信じられなくなった将也は、他人の顔に×をつけ
見ようともしないのでクラスメイトの顔も覚えていない。
完全に他人である。将也は母が弁償してくれた
170万円をどうにかこうにか工面した将也は
自殺する前に心残りだった硝子に会いに行くことにした。

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硝子が忘れていったノートを手話で伝えた将也は
勢い余って友達になりたいと伝えてしまう。
彼女は将也に心を許したかのように「会話」してくれたが
硝子の家族は過去を許してくれたわけではない。
硝子に会ったことで自殺を思いとどまった将也は
普段だったら絶対しないような他人を助けるという行動をとる。
そのことにより永束友宏という友を得る。
硝子に会おうとがんばる将也に前に立ちはだかるのは
硝子を守ってきた強力な家族だった。

過去の過ちによって、ちりぢりになったはずの加害者
被害者たちが登場し、その因縁を断ち切り表面上は
永束の提唱する映画作りによって仲良くなっていくのだが、
そこは未熟な思春期の若者たち。
腹の中ではどんな昏い感情を持っているかわからない。
主要キャラクターのほとんどが
ひとくせもふたくせもある連中であるが、
やはり注目すべきはヒロイン硝子であろう。

硝子(ガラス)はひび割れやすく、また同時に
自分(他者)の行いを映すから、美しい存在を見せられると
自分の矮小で醜い部分が露呈してしまうことがある。
「いい人間」のフリをしていたのにごまかせず
本性をさらけ出す事態に陥り、結果自己嫌悪に陥る。
傷つけ合うことでしか自分たちの気持ちを伝えられぬ
のであれば、人は何てせつない生き物なのだろう。
いや断じて違うはずだ。
『言葉の壁』、『心の壁』をぶち破る方法があると
ただただ信じたい。想いは届く。

将也が感じた彼女との距離感が縮みますように…。

しかしこのマンガの導入部がものすごく暗いなァ。
「ちはやふる」もそうだったけど、すばらしい漫画でも
前半キツイとそのまま続きを読むのは大変だ。

全7巻 講談社コミックスマガジン ☆☆☆☆★
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 10:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆☆☆☆★のおすすめ漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【安寿(あんじゅ)】管理人
 自称「漫画のソムリエ」
 埼玉出身、趣味でブログを
 やっています。
 漫画以外だと
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 音楽鑑賞と昼寝、お笑い、
 風呂と温泉、旅行、
 本屋が好きです。
 
 幼少の頃から
 漫画が大好きだった私が
 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しませんてした。
 そして実際なりません
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