2014年06月08日

漫画『ハツカネズミの時間』冬目景

学園に隠された陰謀と登場人物たちが模索していく
人生という名の道とは?

私立蒼峻学園は隔離された環境で社会の中枢を担う人材を
育成するために幼少期からこどもを預かり、
独自の教育を行う。学生たちの多くは、卒業後
日本におけるエリートとして活躍している。
しかしこれは表の顔。
実際は、生徒たちには知らされていない裏の顔、
裏の目的が隠されていた。
資源を持たない日本という国において、
いかに優秀な人材(国にとって利益をもたらす人間)を
作り出すかは緊急の課題だった。
よって、国はいろいろな事情からこどもを育てられない
親や私生児などからこどもを買い取り、
また彼らに新薬を投与するという非人間的な人体実験を
続けてきた。タイトルは有名な小説である
「二十日鼠と人間」を連想し、秀逸な題名だと思う。
ちなみに、国家プロジェクトは頓挫し、学園の運営は
民間企業である「鳴沢製薬」の手に移っている。

高野槙、園倉茗、新山椋、室樹棗の4人は
自らの置かれている環境に違和感を覚えながらも順応し、
幼少期から長くつきあってきた。
幽閉された環境で育った彼らの中には
「外の世界」に興味を持ったり、不安を抱く者もいる。

そんな中、棗が学園を脱走しようとする事件が発生。
棗を心配する三人だったが、初犯ということもあり
校外などの重い処罰は受けなそうだと胸をなでおろす。
そして、槙は見覚えるのある女子氷夏桐子と出会う。
絶対会ったことがあると思いながらも、
なぜかその記憶は曖昧ではっきりしない。
また他の者に聞いても知らないという。
槙は直接彼女に聞いてみた。
そして彼女から衝撃の事実が知らされる。
食事のたびに出され、生徒たちに飲むことが
義務付けられている薬によって、
記憶が操作され、いろんな副作用が起こっている。
ここは学校の名を借りた実験施設だ。
偏頭痛に悩まされたり、
昨日までいた生徒がいなくなっても特に疑問を持たず、
幼少期の記憶のひとつとってもはっきりしない。
だが、そんな環境にありながら疑問も持たず、
彼らは生活してきた。
そのこと自体が不気味であり奇妙な話だ。
そして、食事の度に出される薬。偏頭痛。
思い当たることがありすぎて、不安が膨らんでいく槙。
桐子は学園から再び脱走することを計画し、
槙はこの企てに加わることになる。

計画は失敗に終わるが、外の世界で桐子と生活していた
梛も桐子奪還の為に動き出す。
学園の生徒たちは戸籍を持っていない。
そして、彼らは無断で人体実験の被験者にされている。
桐子によってもたらされた学園の真実によって
槙たち4人も学園から脱走する計画を練りはじめ
そして実行に移す…。
動き出した彼らはどこに向かうのか?
また、鳴沢製薬の関係者たちの思惑も絡み、
彼らを翻弄する。
人間が持って生まれた感情が彼を彼女を突き動かし、
新たな不安や迷いや悩み、孤独を生み出す。
現状に納得するなり、達観していれば違う痛みなり
悲しみを知らずに済むかもしれないが
それはたぶん人の生き方として何かが足りない。

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講談社 アフタヌーンKC 全4巻 ☆☆☆★ 
ラベル:学園漫画 冬目景
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 11:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆☆☆★のおすすめマンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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