2013年03月03日

漫画『それでも町は廻っている(通称それ町)』石黒正数

とある商店街にあるメイド喫茶シーサイド。
テキトーな接客をする女子高生探偵をめざす嵐山歩鳥と
年を召したメイド服を着た老婆がいる謎の喫茶店だ。
メイド様(歩鳥)の機嫌を損ねると勝手に追加注文されたり
おざなりの接客をされてしまうなんちゃってメイド喫茶。



ちなみにシーサイドとは名ばかり。
海になぞ面していない。(東京都大田区在住)

メイド喫茶の店員にあこがれていた辰野俊子は来店し、
紅茶がメニューにもなく接客もいいかげんなこんな店は
メイド喫茶ではない。と一喝。
しかし歩鳥めあてで喫茶店に常連としてやってきていた
同じクラスの真田広章に恋心を抱いていた辰野は
真田と親しくなる目的でシーサイドの店員に。



辰野加入でシーサイドは生まれ変わると思いきや、
三者三様の接客を行う自由すぎる店に。
ちなみに辰野がつくる料理はうまいと客、店長の評価
共に高いが自意識過剰で謙虚さがないのが玉にキズ。
歩鳥のつくる飯は基本的にマズイか素人レベル。
コーヒーの淹れ方もあやふやなので
酸っぱかったり苦すぎたり…。

仕事をサボりにやってくる、自称元番長の
魚屋の真田勇司(広章の父)・八百屋の菊池貴則、
彼らの舎弟だったクリーニング屋の荒井和豊、
葉鳥と仲の悪い町のお巡りさん松田旬作、
成績が悪く葉鳥を危惧し、いつも胃を痛めている
カタブツの数学教師で担任の森秋夏彦。
あとは、葉鳥と辰野の友達や先輩の紺双葉くらいしか
基本的にやってこない店である。


【探偵を本気で志す歩鳥は推理ばかりしている】

基本的に、日常にあふれる謎や普通の出来事を、
ときにミステリー仕立てに、すこしふしぎな(SF)に、
ときに悲しく、ときにおかしく描いている。
舞台は喫茶店や高校、商店街が多いが、
サスペンス仕立ての話になることも多い。
(歩鳥は近所のお姉さんの影響で
推理小説をよく読み、かつ物事を推理する
ことが大好きなことに起因する。
彼女は作家であるが歩鳥には秘密にしている)
その推理は見事に的を射ることもあるが、
完全に的外れなこともある。
歩鳥は自らをホームズ、安楽椅子探偵になぞらえ、
勝手にその場に居合わせる者をワトスン役にしたてる。
森秋はホームズの因縁の宿敵である
モリアーティ教授をもじったものと思われる)

P2013_0303_080048.JPG


例外的に葉鳥が臨死体験をしたり、
宇宙人(UMA的なもの)が登場したりする
非日常的な物語もあるが、原則的に
日常と非日常がつながって描かれている。
時系列が物語順でないので、
紺先輩が高校を卒業していたり、キャラクター同士の
距離感が違っていたりするなど細かい描写が斬新である。
エピソードごとにオチをつけるのが非常にうまい作品であり、
バックの何気ない演出が心憎い。
(習字で「人情」がたくさん貼ってあるシーンが好き)

主として歩鳥が物語の視点であるが、弟猛目線のものや
ペットのタヌキジョセフィーヌが主人公の回もある。
不思議な【なつかしさ】や【味のある】独特の
世界観を持つ物語。現代においてどんどん失われていく
【商店街】などの地域のつながりや人情味を描いており、
ある種「理想郷」的なコミニュティとして存在する
丸子商店街の面々。そして周囲の町に暮らす人々…との
あれこれを描いたイヤミのないギャグマンガといえよう。
何度も楽しめる緻密で丁寧な作りと遊び心が光る。

通称“それ町” 少年画報社 YKコミックス 
全16巻 ☆☆☆☆☆

posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 07:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 石黒正数『それ町、外天楼』他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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 幼少の頃から
 漫画が大好きだった私が
 まさか漫画家になるとは
 誰も予想してません。そして
 実際なりませんでした。
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 最近だと近眼の白目
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