2013年02月07日

漫画『洗礼』楳図かずお(うめずかずお)

「脳を移し変えることで別人になる」

子役時代から天才としてもてはやされ、
自意識過剰なある一人の女優がいた。
しかし、ある日自分の顔に広がる醜いあざを見つけた。
そのあざは、あたかも女優の醜い心を映すかのようだった。
女優はある計画を立てて、
芸能界から完全に引退し、正体をくらます。

そして歳月は流れ、女優は一人娘さくらを過剰なまでに
大切に育てていた。美しいさくらの顔を傷つける者は、
決してこどもだろうと容赦せずに怒り狂う母。
母子家庭で育ったさくらだったが、母の異常とも取れる
「愛情」に注がれ、母を慕っていたのだが、
母の奇妙な行動を目撃し、不信を抱くようになる。
そして母の恐ろしい企みを知り、数奇な運命を辿ることに。

P2013_0207_064313.JPG


「あやしげな医者」を連れ込んだ母は、
「自分の脳をさくらの脳に移し変えることで、
美しい顔を再び手に入れようとしていた」のだ。
さくらが小学校の4年生(10歳)になり、自分の脳を
さくらの頭の中に収納できる大きさになったと判断した母は……。

「生まれ変わった」さくらは、別人のようだと親友から
不審がられながらも、憧れを抱いていた担任の谷川先生に接近。
遂には谷川先生宅にあがりこみ、谷川夫人に度を越えた
「大人顔負け」な陰険で非道な行為を繰り返す。
また、「さくら」に対して不審を抱く人物に対しては、
類稀な演技力とその悪魔的頭脳を駆使し、うまくごまかしたり
時には排除を謀る。「ほほほ」「らんらんらん」と言う
わざとらしいセリフに集約される、その不気味さ・したたかさは
作品を通してほぼ首尾一貫しており、こどもらしい姿が
逆に一層恐ろしさを惹き立てる。
そう「見た目はこども、頭脳は大人」(イヤな)なのである。

読了後、若干の矛盾点を感じたが、
優れたストーリーや展開の早さ、
人間の持つ「裏の顔」的要素を見事に描いた傑作である。
人間の持つ可能性を描いた天才漫画家の一流ホラー漫画。

文庫版全4巻。

母親とは娘にとって何か?
娘とは母親にとって何か?
そして…… 母親は娘に何を与えたか?(作品より抜粋)
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 06:47| Comment(1) | TrackBack(0) | 楳図かずお(うめずかずお) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりにコメントします^^
ROMってばかりで。。。
うめず先生はあまり読まないので
ホラー好き失格です。
けど面白そうなので読んでみます。
御茶漬海苔が好き。。。

>ペコさんへ

少しの雪にてんやわんやの関東住まい
(埼玉県民)は今日も元気にすごしています。

「洗礼」もいいですが、まだ読んでいないなら
「漂流教室」の方がおすすめです。
読んだとき、鳥肌たった名作です。
「おろち」も短編〜中編の話なので
読みやすくておすすめですよ。
Posted by ペコ at 2013年02月12日 23:46
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 埼玉出身、趣味でブログを
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 幼少の頃から
 漫画が大好きだった私が
 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しませんてした。
 そして実際なりません
 でした。