2013年01月20日

漫画『山下和美 短編集』

【ガラクタ星人宙を駈ける】

工藤設計事務所に勤める堂ヶ崎は向かいに住む
「がらくた屋」を潰し、新しいビルを建てる予定だ。
「がらくた屋」には美しく芯の強い女性菊地千里が
健気に頑張っているが、おせじにも流行っていない。
菊地は堂ケ崎に想いを寄せているのだが、
堂ケ崎はけんもほろろの扱いである。
そんな堂ケ崎だったが生まれ育った自分の家を解体する
事情から千里にガラクタをタダで引き取ってほしいと依頼。
生まれ育った家でありながら、養子であった堂ケ崎は
祖母への恨みの念から忌まわしい過去を取り除く目的で
いっそ家など破壊したくて仕方がなかったのだ。
そこには、思い出のつまったガラクタという名の宝物が
彼を待っていた。

【ROCKS】

垂水はかつて部長職をしていた会社からクビを宣告された。
その息子の垂水はいい年をして緑色の髪をした労働者を
からかって缶をぶつけたことで目が合う。
彼が見たのは父と同年代の男の姿だった。
父と子。うまく向き合えない日々が続いていた。
息子の方の垂水は「デビルクロウズ」という30年も
続けているというライブを観に行き、そこで緑色をした
あの男「アキラ」に魅せられる。

アキラにあこがれる垂水。
そして、実はかつて「デビルクロウズ」の一員だった
垂水の父は「アキラ」を通じて、はじめて父と子として
「会話」をするのだった。

【ブルー・スパイス】

小杉章子は同棲していた寺本を職場の後輩横井あかりに
とられたことで、ヒステリーを起こすようになり
結果的に会社を去ることになった。
就職もうまくいかず、部屋は荒れる一方。
みじめな気持にくさくさする日々をすごす章子だったが
部屋に戻ると、なぜか不倶戴天の敵あかりがいやがった。

【プライベート・ガーデン】

女優三原妙子が引退して30年が経った。
彼女は引退後高い壁に囲まれた豪邸に住み、
その姿を決してさらそうとしない。
その神秘性もあってか、彼女のかつての映画の
名シーンにあやかってか、高い壁を乗り越えて屋敷に
侵入しようと試みるものがあとを絶たない。
榎木田健一もその一人。
なんとか壁を乗り越えた榎木田が見たものは
美しい庭と若く美しい三原妙子…
に瓜二つの美貌を持つ三原瀬里。
映画で妙子が演じた衣装になって次々と登場する瀬里に
妙子の姿を重ねる榎木田はいつしか彼女と恋に溺れていく。


【昨日の君は別の君 明日の私は別の私】

美龍明子。令嬢として生まれ、容姿にも恵まれた明子
だったが、親の反対を押し切って一平と結婚。
その溝は埋まらず、その父も最近他界した。
現在の明子は一平と四人の子供達と共に狭いアパートで
忙しさに追われながら暮らしていた。苗字は山田に。
すっかり所帯じみてしまった山田明子は
差出人不明のメールを発見。そこには
「美龍明子から山田明子」の文字が…
クリックしたその先に待っていたのは、
父と和解する道を選び生活苦のかけらもない
もう一人の明子の姿だった。
裕福な暮らしを思わせる部屋。
そして、美龍明子の隣にいる
山田一平も山田明子といっしょに暮らす一平とは
全く違うスリムでスタイルのいい一平だった。
現実と全く違う別の世界の自分を知ってしまった山田明子。
しかも夫である一平の会社が倒産してしまい、
さっそく生活ピンチのフラグが立ってしまう。

山田明子は四人のこどもとよき夫、パパである一平との
暮らしを心の支えとして美龍明子に気持ちでは負けない。
そんな明子だったが、実は美龍明子の住む世界が
自分がいる世界から4日後の未来であることに気付く。
宝くじのナンバーズを買えば、当たるのではないか?
しかし、そのためには美龍明子にその当選結果を聞かないと
いけない。ナンバーズの結果に限らない。
この方法はほとんどのギャンブルに対して効果は絶大だ。
美龍明子が悪魔のささやきをする。
その結果を教えても構わないが、子供二平がほしいと。
パソコンの画面から美龍明子が乗り出してきて…。

P2013_0119_222217.JPG


以上、5編を収録した山口和美先生の短編集。
バリエーションに富んだ内容で読み応えあり。
講談社モーニングKC ☆☆☆☆+
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 05:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画短編集・傑作選・傑作集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【安寿(あんじゅ)】管理人
 自称「漫画のソムリエ」
 埼玉出身、趣味でブログを
 やっています。
 漫画以外だと
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 音楽鑑賞と昼寝、お笑い、
 風呂と温泉、旅行、
 本屋が好きです。
 
 幼少の頃から
 漫画が大好きだった私が
 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しませんてした。
 そして実際なりません
 でした。