2012年10月28日

漫画『同じ月を見ている』土田世紀

過去に起こった事件を契機に歯車が狂ってしまった三人の男女。
罪を犯した男。
あえて罪をかぶった男。
誤解から愛する人を罵ってしまった女…

あえて罪をかぶった男は、女との約束を守るために
少年院から脱走し、女に会いに行くのだった。

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〜あらすじ〜

絵を書くのが大好きな少年水代元(ドン)は幼くして母を亡くし、
アル中のろくでなしの父と暮らしている。
笑顔を絶やさないドンに対し、同級生たちはドンを侮り、
いじめの対象としていた。最近転校してきた熊川鉄矢は、
この底抜けにやさしい少年ドンと仲良くなり、
大きなお屋敷に住む大使のコールドマンと出会う。
コールドマンは病弱の娘エミと遊んでほしいと二人を家に招く。
ドンはエミの部屋の壁に犬を描く。
それは、絵美がほしがっていたブルテリアだった。
(ドンは他人の考えていることがわかる能力がある。
それを悪用せず、むしろいたわるために苦しむことになるが
すごいことに泣き言ひとつ言わない。聖人)

三人は仲良くなるが、病床に着くエミは来年まで生きられるか
わからない不安を抱えている。
ドンの書く絵を見ると勇気づけられるので
毎年誕生日に似顔絵を書いてほしい
というエミとの約束を果たし続けていたドンだったが、
三人が高校生の頃に大きな事件が起こる。

鉄矢が山の中で仲間たち三人で遊んでいた際に、火の不始末から
大規模な山火事となり、コールマンのお屋敷に飛び火した。
一度はお屋敷から脱出した家族だったが、エミが大切にしていた
ドンの絵を取り戻そうとコールドマン氏は再び火の中へ。
そして命を落としてしまう。
現場近くでシイタケ作りのアルバイトをしていたドンが
誤認逮捕される。ドンは鉄矢が火災を起こしたのを目撃したが
それを語らず、そのまま連行される。
エミは思わず「人殺し」とドンを罵ってしまう。

捕まってしまったドンにエミは一年後に手紙で謝罪。
そして自分が近々、大きな手術をし
今後生きられるかどうかわからないという近況を告げる。
ドンはエミの安否と絵を渡す約束を果たすために少年院を脱走。

また成長した鉄矢は、エミの身体を治すために医者になろうと
難関大学医学部に入学。しかし、いつまでたっても自分を
かばってくれたドンの真意がわからず脅えながら生きていた。
鉄矢はエミに強い好意を持ち続けながらも、どこかで
ドンとエミの間にある揺るぎない絆のようなものを感じ、
ドンが火事の真相をエミに打ち明けてしまうのではないか
という不安を抱えながら生きていた。
ドンが逃走中ということで、大きな不安を募らせた鉄矢は
身勝手な思いからドンとエミが会わないように画策。
ドンと出会い、すっかり悪役らしい罵詈雑言を投げつける
鉄矢だったが、結局ドンとエミは出会ってしまう。
二人のしあわせのために自分は身をひく。
というドンが描いた絵から感じ取ったエミは鉄矢と結婚し
しあわせな道を歩くことを宣言する。
安心したドンはあっさり捕まり、時は流れ刑期を終えた。

しかし、鉄矢の心の中には「罪悪感」と二人の持つ絶対的な
心の繋がりへの恐怖がなくなることはなく
徐々に狂気の世界へと進んでいくことに…。
また、刑期を終えたドンだったが、ヤクザの金子優作に
目をつけられてしまい、波乱万丈の日々を送ることに…。

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あえて他者のために泥をかぶるという生き方を選んだドンは、
人々の心を揺さぶりながら、その生き方を変えようとしない。

重厚で読み応えのある作品。感動的で考えさせられる。

小学館 文庫版全7巻 ☆☆☆☆+
ラベル:おすすめ
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 07:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆☆☆☆のおすすめマンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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