崖の上から落ちてた少年タブロを助けたのは、
サボテンの花だった。
一命をとりとめたタブロは、超能力を有するサボテン
ノーチェスと会話を楽しむようになり、
愛情に似たものを抱くようになる。
タブロはメキシコから訪日。
だがイジメに遭い心が折れそうになる。
そんなタブロを心づけようとノーチェスが苦労の末
タブロの元に現われるという感動的な擬人化作品。
【ウオビット】
雪山に潜む狼男(人狼)を退治せんと現れた
謎の男ロックの活躍を描いた冒険活劇物。
手塚作品には「バンパイヤ」という作品があるが、
バンパイヤでは悪役だったロックが、
善側のキャラに回ったという手法は興味深い。
そして、ロック自身の挙措から何となく秘密を
感じる点などもこの物語の魅力といえそうだ。
【聖なる広場の物語】
鳥を擬人化させて描かれた「科学への警鐘」的物語。
正義の味方と自称する巨大な鳥ゴーズは、
森の小鳥たちを恐怖政治で支配。
ゴーズに負けず劣らず巨大なガバ・ガバから小鳥たちを守る!
と意気込むが、その姿を危険視する者も。
大きな身体を有する巨大な鳥二匹から連想されるのは、
アメリカとソ連そのものであり、
小鳥たちは力なき者を見立てている。
二匹がより強大な力を得ようとあやしげな
「聖なる広場」に出かける姿は、
軍備拡張と権力志向をほうふつとさせる。
そして、暴走した力の向かう末路は破滅のみ。
家族を守るために立ち上がった小鳥のヒワが見た真実とは?
【ザムザ復活】
科学の発展に伴って人間を動物や虫に変える
メタモルフォーゼが可能になった世界で巻き起こる悲劇。
悪を裁く側の人間が悪だとしたら、
人の心を持たぬケダモノだったら
そこには単なる一方的で残酷な仕打ちしか生まれない。
カフカの「変身」をモチーフにしたと思われる物語は、
理不尽な理由からおぞましい虫に変態させられた
主人公ザムザの悲劇といきものの尊厳と復活を描く。
など全10編を収録した短編集。
人と繋がっていく、植物、ロボット動物、悪魔などを
描いた作品が描かれる。
ヒューマニズム溢れる作品、
残酷な題材や世界滅亡ものなども収録。
主人公たちが、いろんな理不尽に対して戦う姿を
描いた手塚作品らしい短編集である。
講談社漫画文庫。
ラベル:手塚治虫
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