2012年04月27日

漫画『惡の華』押見修造

あこがれの佐伯さんの体操着を盗み
罪の意識に苛まれる中学生の春日高男。
【惡の華】(ボードレール著の詩集である)を
敬愛する文学少年の春日は、
自らの罪をまるで「惡の華」だと悔やみ、苦しむ。

その現場をエキセントリックな言動によって
クラスで浮いた存在である仲村さんに
ばっちり見られていた。
半ば強引に仲村さんに呼び出された春日は
彼女と放課後をすごすことになる。



サドっ気満点の毒舌マシンである
自称変態の仲村さんから【この町一番の変態】
とありがたい通り名をもらった春日は
それを強く否定し、懸命に自我を保とうとする。
だがそんな春日をあざわらうかのように
仲村さんは佐伯さんに近づきあえて2人を接触させ
春日の変態性を引き出し、さらけ出させようと試みる。



不安定な思春期の葛藤や奇妙な三角関係を
情感たっぷりに描いた問題作。
思わせぶりなタイトルだが、主人公たちが
中学生なので、まぁ無難な所に落ち着くだろう…
と思わせたが、エグい展開に発展。

基本的なスタンスとしては、普通の少年が
実行力に優れた悪魔っぽい子仲村さんと
優等生だが芯の強い天使っぽい子佐伯さんに
翻弄される様を描いている。
変態の定義自体があいまいだが
まぁ文学青年春日が佐伯さんを神格化して
ミューズだのマリアだののたまう姿がキツい。
開き直った人間の強さというか、
ある種の可能性に驚かされる。
画力・表現力の向上もすばらしい。

物語は中盤でひとつの終息を迎えるが、
後半に向けて新たに加速をはじめていく。
主人公は春日であるが、改めて読み返してみると
仲村さんの物語だったのだなぁと思う。
最終巻では仲村さんがなぜ奇妙な言動をとり
周囲から敬遠されてしまうのかがわかり
その絶望感がひしひしと伝わってくる。

【Les fleurs du mal】

講談社 少年マガジンコミックス 全11巻
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 06:58| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆☆☆☆のおすすめマンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして
名言みせていただきました
おもしろいですね

よい名言たくさんありますよね

伝えきれないくらい

私も読んでみます

>hakuさんへ

コメントありがとうございます。

キャラクターのセリフから
その漫画家が垣間見える気がします。


自分がなんとなくいいなぁ
と感じたものをこれからも紹介して
いきたいです。
Posted by haku at 2012年04月27日 14:05
この漫画巻数を増すごとに絵がうまくなってますよね。

ちなみこの漫画のモデルとなった街、桐生市に行ってきましたよ。
特に商店街は必見ですね。
漫画に使われてる背景そのまんまのところがあります。

何かオタクのやるようなことしてるなあ…。


>ながさきさんへ

こんなに自らの性癖を暴露したような漫画
(バクマン)も珍しい気がします。
過去の犯罪まがいの実話をしたり…。
桐生市の方がこの漫画を肯定的にとらえているのか
気になります。

私は「よつばと!」や「ジョジョリオン」の
モデルになっている仙台市に行きたいです。
Posted by ながさき at 2012年07月08日 13:01
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【安寿(あんじゅ)】管理人
 自称「漫画のソムリエ」
 埼玉出身、趣味でブログを
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 本屋が好きです。
 
 幼少の頃から
 漫画が大好きだった私が
 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しませんてした。
 そして実際なりません
 でした。