2011年12月20日

漫画『オデッセイ』作史村翔 画池上遼一

戦後50年。
日本の将来を憂う若手エリート官僚5人が計画した
【オデッセイ】プロジェクトによって、
日本、アメリカ、そして世界に大きな波紋を呼ぶ。
弱者(弱小国)は強者(大国)によって踏みにじられ、
本来受給されるべきはずの民への救援物資は
一部の人間に搾取されていく。
その歪みは、人々の心をすさませ、更なる弱者に及ぶ。



理想と現実の違いから警察官僚(公安)という職を捨て
愛する女性と共に私塾のようなことをしている
公安の切り札と呼ばれていた新見。
2年前に同じく官僚の石津らと共に企てた

【オデッセイ】

当時は実現不可能と暗礁に乗り上げた計画。
だが、自衛隊機の謎の墜落と失踪によって、
眠っていたはずの極秘プロジェクトが動き出す。
石津らの働きかけにより、自衛隊が国連軍解放の
ため反政府ゲリラを武力によって攻撃。
その行動は多くの反感を買うが、その行為は
あくまでオデッセイの序章にすぎなかった…
そして、日本、アメリカ、中国、世界が動き出す。



理想と現実の違いに悩まされながら、
新見は世界がはらむ矛盾や現実を直視することになる。
ハードボイルド調の作風・作画が示す通り、
弱者が虐げられるかなりキツい展開も多い。
だが日米安保条約という難解な問題を
投げかけたという意味では評価したい。

背景として、戦後50年を迎えた1995年頃が
舞台である。PKOなどの自衛隊の活動が盛んになり
世界的に評価されるようになっていた頃のこと。
その自衛隊が作中、武力を行使したわけだから
まさに寝耳に水だったわけである。
安保をめぐる問題、よしあしが
盛んに論じられていた頃の作品。
よって、近未来、具体的に21世紀を
見据えて(予見して)描かれている。
100万人以上の人民解放軍と高い経済成長率、
更に軍事費もうなぎ上りであった中国が台頭し
アメリカは日本重視の政策ではなく、
中国よりの政策を採り、日米安保は放棄され
具体的には米中安保条約が締結される…
と石津は考えていた。
その予想から、日本のあり方、
とりわけ軍事的な観点からの見直しが必要であり、
具体的にはアジア内での相互協調・防衛を行う
というのがオデッセイの根幹である。
5人はその立場や思想、世界に対する見方
の違いから自ずと思い描くオデッセイの姿も
若干異なるかもしれないが、
革命を起こすのは若者という古からの決まり通り
計画を立案、そして実行したのである。
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 06:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆☆☆★のおすすめマンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【安寿(あんじゅ)】管理人
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 幼少の頃から
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 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しませんてした。
 そして実際なりません
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