2011年08月15日

漫画『ワンナウツ ONE OUTS』甲斐谷忍

ワンナウトでプラス500万円。
失点したらマイナス5000万円。
という野球の自由年俸契約をした
トーアと球団オーナー。
だましあいの闘いを制し、最後に笑うのは?

パ・リーグのリカオンズには
首位打者・得点王・ホームラン王、
そして二度の三冠王に輝いたことのある
国民的英雄でプロ野球選手の児島弘道がいた。
しかし彼を以て手にしていないものがあった。
それはペナントレースでの優勝。

リカオンズは毎年最下位争いに甘んじ、
チーム内には負け犬根性が染みついていた。
リカオンズには決定的に足りないものがある。

児島は沖縄で賭け野球に興じ無敗を誇るトーア
(渡久地東亜)という一流の勝負師に出会う。
ストレートしか投げられないが
打者心理を読み、観察力・洞察力にすぐれ
ブラフ(はったり)と類稀なる精神力と制球力を
有するトーアに期待する児島は捨て身の勝負で
トーアをリカオンズに引き込んだ。

(トーアは86〜128キロのスピードを
球の回転数を調節しながら選択でき、
リリース(球を放る)瞬間に球種選択できる)



リカオンズを優勝させてほしい―
無謀とも思えるこの願いだったが…。

トーアは銭勘定でしか球団経営を考えない
彩川恒雄とワンナウツ契約を結ぶ。
トーアは一つアウトを取れば500万円。
但し点を取られると5000万円のペナルティ。
実質的に防御率2.70よりもいい成績でないと
1円も手に入らず無償で投げなければならない
日米和親条約も真っ青の不平等条約であった。
しかしトーアは快刀乱麻のピッチングをみせ
年俸はどんどん増えていく。

彩川は途中からトーアの恐ろしさに気付き
条件を変更。

・「自責点から失点」へ。
・ベンチの指示には必ず従うこと
(相手のランナーが得点圏になってから
リリーフさせるリスクを負わせる)。
・試合の重要度により契約のレートを増額できる。
・契約を口外しないこと。

などの追加条項を加え、彼を陥れようと試みる。

彩川は今年限りでリカオンズ球団を売る腹積もりで
その条件として球団を
経常利益の10倍で売る約束を結んでいた。
よってワンナウツ契約によって
トーアの年俸を20億払うことになると
実質的な損害は200億になる。
彩川はムキになり、トーアを陥れようと画策。
しかし、そこは一流の勝負師であり
したたかな男であるトーア。
一筋縄ではいかない。
逆に彩川を追い詰めていく。



強力な打線を誇るライバルチームや
智将や塁間世界最速の男を有するチーム。
反則プレーに明け暮れるチームや
スター選手をトレードで強引に揃えたチーム
といった曲者ぞろい
とのペナントレースをかいくぐり
チームを初の優勝へと導く奇跡的な
怒涛の快進撃をみせる。

何よりも勝負にこだわり
ドブに落ちた犬は沈めるを流儀とする悪魔のような
ダーティーヒーロートーアが魅力的な作品。
中盤あたりまではトーアと会長の戦い
という図式だが、その裏に隠された陰謀。

そして、最終的に東亜の働きかけで
リカオンズナインの意識改革が起こり
真のチームワークにめざめ、
チーム全体が強くなっていく過程は見物である。
変則的な野球漫画であるが、
一味違ったスパイスと毒。
作者特有の心理学を専攻したかのような
駆け引きと心理戦に重点を置く作風はおすすめ。

全20巻(ペナントレース編 19巻まで
     オールスター番外編 20巻) 

集英社 ヤングジャンプコミックス ☆☆☆☆+
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 07:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆☆☆☆のおすすめマンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【安寿(あんじゅ)】管理人
 自称「漫画のソムリエ」
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 本屋が好きです。
 
 幼少の頃から
 漫画が大好きだった私が
 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しませんてした。
 そして実際なりません
 でした。