2010年06月23日

漫画『おおきく振りかぶって』ひぐちアサ

挙動不審のエース三橋と一緒に甲子園をめざす
一年生チーム埼玉県の西浦高校。
野球をよく知り、バイト料を野球部につぎこむ
熱血ケツバット女性監督モモエ。
元ソフト部出身の働き者のマネージャー。
メンタルトレーナー兼蘊蓄王の志賀。
応援団長浜田や、西浦野球部の母たちの想いを
乗せて、叶うか?地方大会突破!そして甲子園!!



祖父が群馬県の中学校の理事長だったことから
ヒイキされ「特別扱い」されていた三橋。
自他共に認める「球が遅い」という弱点があるが
野球部エースの座を意地でも譲らなかった。
その結果同じくピッチャーをやっていた叶以外の
チームメンバーや生徒から疎まれ、嫌われ続けた。
チーム状態は最悪。試合をやっても負け続けた。
野球は好きだけど、エスカレーターで高校もある
三星学園で野球を続けることはできないと
雪が降る群馬を去り埼玉の西浦高校にやってきた。
「野球を続けろ」と励ましてくれた叶の言葉。
支えがあるとしたらそれだけ。父が作ってくれた
9分割の壁に向かってひたすら球を投げ続けた。

西浦高校は今年から硬式野球部が設立された。
よって入学した一年生のみでチームができた。
野球部に入ろうと集まったのは10人。
そこにいた巨乳の女監督はモモカンこと桃枝。
西浦高校軟式野球部OG。
正確無比のフライを打つのがうまく、
野球に詳しく、戦国無双なみの怪力。
人を乗せるのがうまい熱血監督だ。
部員からは尊敬を集める一方恐れられている。



キャッチャー阿部は、中学(シニア)時代の
経験から「自分の配球通りに投げる素直」な
ピッチャーを熱望していた。
本格的なピッチャー経験者は三橋だけだったが、
遅い球しか投げられない三橋は自信なさそう。
そのキョドり具合やすぐに泣きだすなど
周囲をイラつかせるが、
阿部は三橋の持つ玄人裸足のコントロールのよさや
自分の配球通りに投げる素直さ(じしんのなさ)
を高く評価する。数多くの変化球も投げられる
三橋は同時に変則的なストレートも持っていた。
打者としてだけでなく類稀な野球センスを持つ
マイペース下ネタ天才肌の田島。
チームの三冠王(打点王、打率王、下ネタ王)。
長身でチームを引っ張るムードメイカー花井
を中心に仲が良く息の合ったチームが生まれた。

「三橋に自信をつけさせエースにして、
みんなで得点とれば甲子園も夢じゃない」
モモカンや阿部、田島らが掲げる目標は
少しずつ現実味を増してくる。

チーム内の誰もが三橋の実力を認めながらも
本人に自信がないのはチームにとってよくない。
過去を断ち切らせるために美星学園との試合が
組まれた。新設校ということもあり、
相手が揃えてきたのは一年生チーム。
もちろんかつてのチームメイトたちも数多い。
三橋は敵視されながらも、
阿部のリードも光り好投をみせる。
阿部に対する信頼と言うよりも依存心から
首を振らずに言われたコースに投げた。
ちなみに阿部と三橋の関係は、
封建時代の主従関係を思わせる。
極端にキャッチャー(恋女房)が強いバッテリー。



チームの誰もが三橋をエースと認めていた。
自信と自覚がないのは投げている三橋本人だけ。
歯車のがっちり噛み合ったチームは
甲子園に向けて着実に走り出した。
埼玉県夏の地方大会初戦の西浦高校の相手は
前回優勝校桐青高校。初戦敗退が濃厚の雰囲気
の中でも、甲子園をあきらめない者がいた。

自分の出身県なので、「この高校のモデル」は?
とか考えて楽しめる。
「西浦高校」は「浦和西高」がモデル。
県大会には漫画でも触れているが170校位出場。
(本年度は159校である)
今年の優勝候補は浦和学院(春の関東大会優勝)
と花咲徳栄。ここ10年間の代表をみても
春日部共栄、本庄第一、聖望学園……
とやはり私立が強いのである。
(10年で6回浦学こと浦和学院が代表である)
作品でも触れているが、練習時間が圧倒的に多い
私立に比べ県立である西浦高校が勝つのは
やはり非常に困難である。



作風は青春真っ盛りの高校野球で、
結構キャッチャー目線。監督の読み合いも多い。
作者が「ドカベン」を愛読していたからか、
野球蘊蓄も多く、メンタルトレーニングを重視
するなど今風の野球部の雰囲気がある。
球速を最重視する(150キロ、160キロという
数字の魅力も認める)昨今の野球漫画と真逆の
エース像を描いているのも興味深い。
「投げる精密機械」「ミスターコントロール」
小宮山悟を髣髴とさせる三橋。
彼の能力を引き出す捕手の阿部やチームメイトの
「信頼関係」やチーム協調型の試合展開や
和気藹藹の中での成長劇を描く。
三橋は気弱でキョドり、奇妙な笑いや奇声を発し
うまくしゃべれないことが多いので、
ちょっとイラつく。
コミックスでは野球用語の解説に触れている。
(やや漢字の間違いが多いのはご愛嬌)

高校野球応援歌「狙い撃ち」も再現されている。
場外ホームラン 場外ホームラン 
場外ホームラン かっとばせよ〜 ねらいうち
打てよ打てよ打て打てよ〜(わっしょい)
打てよ打てよ打て打てよ〜(わっしょい)
お前が打たなきゃ誰が打つ ねらいうち〜 

今の高校野球は試合中失敗しても笑っていることが
多い。いろんな意見もあるが、楽しく野球が
できたらきっとその方がいいよなぁ。
野球が大好きな野球少年たちが集まって、
彼らを温かく見守る人々の支えが心地よい。
この漫画にはそういう爽やかな雰囲気がある。

〜埼玉ローカルネタ〜

コバトン(シラコバト、ご当地キャラ。
ゆるキャラではなく前からいる)

埼玉りそな(埼玉のメインバンク
元々りそなが年間赤字なのに、
埼玉りそなは年間黒字の年度も)

ガリガリ君(部員が食べている、赤城乳業)

テレたま(テレビ埼玉、県営大宮球場での
高校野球の試合を放送、5チャンネル)

もったいないおばけ(CM)

〜群馬ローカルネタ〜

焼きまんじゅう…群馬県の郷土食。美味。
串にまんじゅうを4個ほどぶっ刺し、
黒砂糖・水飴などで甘くした味噌だれを塗り
焼いたもの。埼玉には
「うまい。うますぎる。十万石まんじゅう!」
があるが管理人は焼きまんじゅうの方が好き。

講談社アフタヌーンKC 20巻〜 ☆☆☆★

「おお振り」と略される。
ラベル:野球漫画
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 07:54| Comment(1) | TrackBack(0) | ☆☆☆★のおすすめ漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
同人誌でしか見たことがないわたし・・・

腐でごめんなさい。

>イレギュラーなパターンですね。野球だけに。
 同人だとホモネタ多そうですね。
「肉欲企画。」でもネタにされてましたね。
 
 コメント欄を活用して、ヒロインにして
 事実上の主人公モモカンに迫る企画。
 「ゲンミツ」にやるのでムダに長い。

 モモカンが男だったら……。(モモカン男説を検証)
も交えて、謎の多いモモカンの魅力に迫ります。
 
 マネージャーがモモカンと入浴した際にブラジャーを
 見て、びっくりしている。
 (なんか想像していたのと色々違ったからw)
 まぁだとしたら、いっしょに入っていたマネージャーは
 すごく肝が据わったよくできた子だと思います。
 性格良さそうですし。空気を読んで軽く流した…と。

 左で125キロマックスは女性投手だと最高クラスの逸材。
 >スクリューも投げられ、選手としてもプロで通用しそう  な逸材です。ルックスもいいので実にプロ向きです。
  なのにプロに行かないのは、行けない理由がある。

 人物像・性格的に慕われることはあっても
 嫌われなそうなモモカン。
 なのに、同級生が訪ねてこない。なぜ?
 (作品的に不都合な事実があるからw)

 百枝まりあという源氏名っぽい名前。
 こち亀の「マリア」を連想するから。

 田島が、『モモカン』と言いながら、
 スイカを胸元に入れて戯れていたけど、
 その姿が「つめもの」をしているのを暗示している。

 軟式野球のマネージャー(マネージメント含む)。
 今年から硬式が認められ、監督になったモモカン。
 本人談では23歳。その際に花井は7歳上ってありか?
 と自問自答していますw(これはなかなかうまい描写)。
 第一話で「女監督だから(入らない)」って
 大見栄切って、野球部以外に入ろうとする花井。
 そんな君がモモカンに首ったけになっている姿が
 実に青春っぽくていい。
 「そんなことより何カップなんだ?」(花井心の叫び)
 
 モモカン「実は男なのよ!でも心は女よ!」
 >「おおきく振りかぶって」<完>
 (ひぐちアーサー先生の次回作に期待ください)

 あれだね、田島はオープンスケベで花井君はムッツリ。
 阿部は西浦では断トツで腹黒い性格だから
 後者で間違いないね。モモカンは試合のときだけ腹黒い。
 
マネージャー(千代 ちよちゃん)が阿部と結婚したら
「あべちよ」になる。そんだけ〜

浜田は結局ナニをやらかしたのか?
 >汚れた過去を持つと自戒する浜田。
  単行本14巻まで読んでいるだけだとよくわからない。
  教頭との会話だけでは、
  浜田側が決定的な悪いことをした雰囲気はない。
  出席日数が足りなかったのは、家庭の事情なのか
  不良にでもなっていたのかがわからない。
  教頭自身は、浜田が学校に来るようになり、
  立派に応援を率いている姿に感動している。

  ……よくそー次次妄想をめっけてくるね。(阿部)
Posted by ペコ at 2010年06月23日 16:55
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【安寿(あんじゅ)】管理人
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 幼少の頃から
 漫画が大好きだった私が
 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しませんてした。
 そして実際なりません
 でした。