2010年04月06日

マンガ『宇宙兄弟』小山宙哉

宇宙飛行士になった弟。
夢をあきらめ、忘れたフリをしていた兄。
少年の頃、UFOを目撃した兄弟は
いっしょに宇宙飛行士になろうと約束した。
とりあえず目標はUFOが飛んで行った月。

壮大な夢を叶えんと宇宙センターに入り浸ったり、
日本の宇宙飛行士に会ったり、
宇宙に関する勉強に励んだり、
関係者や研究者に会ったりと
具体的な行動を起こす南波兄弟。

時は流れて、2025年。
兄とは常に弟の先を行ってなければならない
と考えていた兄南波六太(ムッタ)は、
いつしか夢を諦め自動車開発者になっていった。
「ドーハの悲劇の日」(1993年10月28日)生まれ
の彼は、ワールドカップの「ジダンの頭突き」
よろしく、弟をバカにした上司に頭突きをして
会社をクビになった。
(おそらく少年の頃UFOを観たという弟の
テレビ発言に起因する)。
「野茂がノーヒットノーランを達成した栄光の日」
(1996年9月17日)生まれた弟ヒビトは、
現在アメリカのヒューストンで来春の月探査に向け
(日本人初の月着陸者)トレーニングに励んでいた。
挑戦することに緊張を感じない強心臓の持ち主。
(地球でも無重力で生きていると言われるほど)

実家に戻り、おもろい両親と暮らしながら、
(母は陽気に変な歌を歌い踊り、
父はものまねに明け暮れるぞ)
自動車開発関連の会社に就職活動するムッタ。
しかし、陰険な上司の手が回りことごとくダメ。
柄にもなく気落ちするムッタを見ていた母は、
ヒビトに電話で相談し宇宙飛行士募集をしていた
「JAXA」に書類を送っていた。
そして書類選考合格の通知がムッタに届いた。

忘れたフリをしていた夢がよみがえった。
そして、弟とした約束も。
アメリカで宇宙飛行士の訓練に励む弟ヒビトは
信じていた。兄は宇宙飛行士になれる。と。
日本にいるのは、宇宙飛行士になるための準備を
しているんだ。と。
長年のつきあいのあるシャロンの下に訪れた
ムッタは、かつて夢に向かってあえて難しい
ことに挑戦した自分の姿を思い出す。

宇宙飛行士になると危険は飛躍的に増える。
確かに死ぬのは嫌だ。
でも宇宙飛行士になれずに死ぬのはもっと嫌だ。

過酷で最難関である宇宙飛行士試験を受けながら
徐々に近づいてく夢。不安。期待。
ヒビトに試験内容をきけばいいのに他の受験者と
対等に試験を受けるぜ!というわけではなく、
単に試験内容を聞き忘れたムッタ。
苦戦しながら、試験に挑むことになる。

自分と同じ夢・強い志を持つ故に最高の理解者で
あるライバルたちとの戦い。芽生える仲間意識。

顔のイメージと違って、繊細で細かいことによく
気がつくムッタの観察眼とシリアスな場面で
冗談としか思えないことを考えているギャップ
(でも本人はいたって真面目)がおもしろい。

そして、一足先に日本人宇宙飛行士として
脚光を浴び、ミッションをこなすヒビトの活躍を
誇りと嫉妬の入り混じった複雑な想いで見つめる
姿などを描く。



物事に関していい加減で面倒くさがりのヒビトが、
最もなるのが大変であり面倒くさい宇宙飛行士への
道を選択。未だに精進しているのが興味深い。
(あるミッションでのヒビトの作業効率は
他のメンバーの2倍だったりする)

ロシア人宇宙飛行士アームストロングが
候補3人から選ばれたのは、
「名前がロシア人っぽいから」というのは有名だが
南波ヒビトをローマ字表記すると「NIHON」
の文字ができる。ちなみに兄だと作れない。

物語のヒロインで才色兼備の食欲過多。
宇宙医療で新薬開発し難病を治したいと考える
女医の「伊東セリカ」はアナグラムで
「世界獲り」が作れる。(どーでもいい発見)

ムッタの親友で人の年齢を当てるのが得意な
熱血青春野郎「真壁ケンジ」は特に思いつかない。
(なんか「寄生獣」に出てきそうな顔だ)

思ったことを何でも口に出すやっさん、
50歳を過ぎても宇宙への夢をあきらめない福田
(元JAXA職員)
大学でスポーツ医学を教える新田など
いろんな職業や立場にいる人々が宇宙飛行士に
なるためにしのぎを削る。

また、往年の外国アクション映画や
お笑い芸人(コメディアン)をもじったと
思われるキャラクターが登場している。
夢を追い続けるキャラクタたちーの一途な姿を
描くと同時にギャグマンガとしての側面も強く、
物語自体を素直に楽しめる内容に仕上がっている。
NASAやJAXAのバックアップメンバーの
情熱や活躍も見逃せない。
10巻あたりから下降するかと思われたが
むしろ上昇している極上ストーリーと
胸を打つ名言の数々。
命を懸けて宇宙に旅立つ宇宙飛行士と
命を預かる技術者たちバックアップメンバー。
特にすごいのはやはり幼少期から二人を
支えたシャロンその人であろう。
その一途なまでの“想い”を乗せて
有人ロケットは空を突きぬけていく。

よくも悪くも
慎重で堅実で見栄っ張りで愉快な兄ムッタと
いい加減で冒険的、兄の先を行ってしまう弟。
性格的には対称的。故に魅力的で相乗効果の
化学変化を生みだしそうな南波兄弟。
二人に共通しているのは、仲間想いの所。
前人未踏。
月面着陸の宇宙飛行士兄弟は誕生するのか?
『Let's go to
the space,brother! 』

38巻〜 講談社モーニングKC 
☆☆☆☆☆

posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 08:12| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆☆☆☆☆のおすすめ漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【安寿(あんじゅ)】管理人
 自称「漫画のソムリエ」
 埼玉出身、趣味でブログを
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 本屋が好きです。
 
 幼少の頃から
 漫画が大好きだった私が
 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しませんてした。
 そして実際なりません
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