2010年03月27日

マンガ『スティール・ボール・ラン』荒木飛呂彦

アメリカ大陸をたった一頭の馬で駆け抜ける。
優勝賞金は50万ドル(60億円)。
参加資格は16歳以上。性別・国籍は問わない!
参加費用1200ドル。
大イベント「スティール・ボール・ラン」
がサンディエゴ・ビーチで開催された。
参加者は当初の予想を大きく上回り3600名以上。
大きな注目を集めるこのレースは
サンフランシスコ・ニューヨークに留まらず
ロンドン・パリから東京まで表や裏で大金が
賭けられ動いている。

時代は1890年。
まだ蒸気機関車が導入されて間もない時代の話。

インディアンでみんなからの嫌われ者サンドマンは
白人の書物を持つという罪で追われていた。
圧倒的な脚力を有する彼は、馬で追い駆ける仲間を
あざ笑うかのように逃げ回る。
聡明な彼は知っていた。インディアンの価値観と
白人の価値観は違う。白人の価値観は「カネ」だ。
インディアンが祖先の土地を主張するのに、
一番手っ取り早く、物を言うのは金に他ならない。
スティール・ボール・ランで優勝すれば、
自分たちの土地を守れる!と信じレースに参加する
ことにした。信じるのは、己の脚力(走力)だ。

このレースを行うプロモーターであるスティールは
重圧に震えていた。失敗が起こらないか?
彼を支えるのは14歳の幼な妻ルーシー。
(ルーシーとスティールの馴れ初めも語られるぞ)
表面上は、スポーツの大イベントだが、
スティール・ボールランには隠された秘密がある。
人智を超えた絶大な「力」を引き出す「ある物」
を手に入れるという大統領の陰謀があった。
レースの経路には、「悪魔の手のひら」と
呼ばれるいわくつきの場所もある。
砂漠、氷上、山地と過酷な難所も数多く点在。
また、大イベントということもあり、
国の威信(メンツ)をかけた側面もあった。

スティールは少年のようなひたむきで
純粋な情熱を持つ男だが、
「どー見ても変態」にしか見えない。
ルーシーはこの物語のキーパーソンである。


【あやしさがにじみ出ている御仁】

参加者たちの中には、殺人すらも辞さない輩や
テロリスト集団、国家のバックアップや命を受け
暗躍する者たちも含まれ、いずれ馬脚を現す。



主人公である鉄球を回転させる謎の男
ジャイロ・ツェペリは、
ある少年を助けるために過酷なレースに参戦。


【少年の純粋さがジャイロに感傷を与える】

「ジョジョ」ことジョニィ・ジョースターは、
ジャイロの持つ不思議な回転の能力に興味を持ち
彼といればちっぽけな自分も成長できるかも
しれない(レース途中から別の目的も)と参戦。


【ジャイロとジョニィの友情が育まれる
過程も必見だ】

社会に復讐の炎を燃やすイギリス競馬界のスター
「ディオ」ことディエゴ・ブランド―は
大いなる野望を抱きながら。


【口が耳まで裂けているディオ。あやしい!】

2か月の間、50億人に一人の幸運が訪れる!
と予言された陽気な怠け者ポコロコも参戦。
(2か月という「縛り」がまた心憎い)。

敵か味方か?謎起きホットパンツは
いろいろ秘密を隠しながら参戦。

参加者の多くは、過酷な超人レースに参加する
だけあって、既に人智を超えた感のある面々だが
不思議な力を引き出すという「悪魔のてのひら」
を通ることで、より強大な力を引き出していく。
それは、客観的に正義の心とか邪な心などとは
関係ないらしく選ばれ発動するようだ。

また、物語の中では、死刑執行人という特殊な
立場・職業を持つジャイロの葛藤を描く。
実は、この死刑執行を行うキャラの一族は
同時に医者でもある。
つまり、命に関わる職という社会における
大きな役割を担っているのである。

競馬界のスターとして馬乗りの家系のジョニィ。
栄光を掴みながらも心ない父親によって傷つき、
かつ事故によって絶望を味わったジョニィが
希望へと向かって歩き出す復活劇でもある。

偉大なる母の愛情や
新世界を創り出せる絶対権力者アメリカ大統領
ヴァレンタインの「暗殺計画」も見逃せない。


【大統領はナプキンを最初にとることが
(世界の統べる決定権を握る)と語る】

スケールの大きさも、
魅力的なスタンド(大雑把に言えば超能力)も
個性的なキャラなど荒木節は健在である。

ジョジョ第7部と位置付けられるが、
前シリーズを読まずにこの作品から読み始めても
大丈夫な構成になっている。

迫力のある戦闘シーンや頭脳を駆使した戦いや
キャラクターごとの心理描写や自問自答。
緊迫したレースや闘いなどの合間に入るギャグ、
はまる要素の多いストーリーに仕上がっている。

同時に死刑制度や同性愛、レイプ、DVなど
倫理観を問うようなキツめの内容
(少年ジャンプからウルトラジャンプになったのも
 影響して)もテーマに盛り込まれている。

ストーリーとして印象的なのは、
「金の斧」を絡めたシュガー・マウンテン編。


【シュガー・マウンテンの秘密とは?】

スタンドとしては、「シビル・ウォー」と
「4DC」(いともたやすく行われるえげつない行為)。
円卓に置かれたナプキンの話。

ちなみに、ジョジョ(63巻)、ストーンオーシャン
(17巻)、そして本作は20巻出ているので、
ジョジョは100巻(100冊)に到達した記念すべき
作品でもある。☆☆☆☆☆ 全24巻




スティール・ボール・ラン (2) ジャンプコミックス

スティール・ボール・ラン (2) ジャンプコミックス

  • 作者: 荒木 飛呂彦
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/05
  • メディア: コミック


posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 06:07| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆☆☆☆☆のおすすめ漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【安寿(あんじゅ)】管理人
 自称「漫画のソムリエ」
 埼玉出身、趣味でブログを
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 幼少の頃から
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 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しませんてした。
 そして実際なりません
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