2009年07月30日

漫画『サンクチュアリ 聖域』庄司陽子

監察医岩城は、殺された母親の胸を吸いながら
生きていた悲劇の赤ん坊と出会う。
殺人の容疑で、深沢病院の跡取りである内科医の
深沢克哉が挙がるが結局立件できず。
克哉は、おそらく赤ん坊の父親であろうと噂されていた。

施設において、食事を一切口にしようとせず
誰にもなつかない赤ん坊は、
なぜか岩城には必死でしがみついてくる。
妻を亡くし、ひとりで生きていた岩城は
「妻との間に生まれた自分たちの子」として
彼をひきとり、悟朗と名づけた。
(岩城悟朗、稲垣吾郎のもじりであろう)

すくすくと育つ悟朗。
しかし、自分の父親の職業をなじられ
同級生相沢に大ケガを負わせる。
原因を作った相手に対し、慰謝料を払う
岩城に対して悟朗は理不尽だと言い放つ。
非常に優秀である悟朗は、人に対して厳しく
時に相手を完膚なきまでに打ちのめす
という片鱗を少年時代にのぞかせていた。

進学校に学年トップで入った悟朗は、相沢と再会。
なぜか悟朗に対し優越感を抱いているらしい
相沢に殺人未遂を起こし恐怖を植え付けた悟朗。
彼を子分にすることに成功。
女子高のマドンナを大胆不敵な手段で
ものにした悟朗は、次々と悪事を繰り返す。
大きな野望を持つ彼は、育ての親である父と同じ
医学の道を進むが、悟朗の本性(悪性)を
見抜いていた父は彼とは別に住む道を選ぶ。

東京大学に進学した悟朗は、快楽の為だけに
つきあっていた今までの女性とは全く異なる
タイプの女性に惹かれる。彼女は深沢篤子。
深沢病院の長女、つまり悟朗の妹だった。
妹ということに気づいても悟朗は、
怯むことなく妹との結婚を強く望み、
実の母を殺した実の父克哉に猛アピール。

悟朗は「移植手術」の権威となり、
篤子との結婚を克哉に認めさせるために
アメリカに渡り、実績を積み「ゴッドハンド」
(神の手)と称されるほどの実力を備えてくる。
大きな野望を腹に抱えながら。

悪そのものである悟朗と、善そのものの篤子。
悪そのものである実の親深沢克哉と、
善そのものである育ての親岩城正浩。
その対比がおもしろい。

絶望と希望、善と悪、生と死。
多くの対立するテーマの中で描かれる愛憎劇は、
エロチックで狂気にまみれた昼ドラマ調。

主人公が自分の野心のためなら、
どんな汚いことでもする殺人鬼に変貌していく姿と、
その裏で「ゴッドハンド」として
多くの人々から賞賛される「ジキルとハイド」
的二面性を併せ持つ「悪魔的魅力」が
気に入ればおもしろい作品。
内容的には、倫理観を欠いたややきつめの作品。
文庫版全3巻。セブンイレブン限定版全4巻。

☆☆☆のおすすめマンガ。

posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 07:13| Comment(1) | TrackBack(0) | ☆☆☆のおすすめコミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ほんと安寿さんのレビューは読みやすいしなおかつ読みたいと思わせますね。見習いたいわ〜

>ほ、ほめても何も出ないんだからね。
Posted by ペコ at 2009年07月31日 22:37
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