2008年09月11日

マンガ『手塚治虫恐怖短編集1 妄想の恐怖編』

「ボンバ」 

憎しみの想いが殺人事件を生み出し、
社会を恐怖のどん底に落とす都市伝説を生み出す。
見える者と見えない者がいる暴走馬「ボンバ」は
一人の男の情念によって生まれた負の産物だった。

主人公である中学生の少年男谷は、水島礼子という
教師に強い憧れを持ち、強い結婚願望を抱いていた。

そんな男谷は、日常「ドカッ、ドカッ」という
摩訶不思議な音を聞き不安に戦いていた。男谷は、
水島に結婚を申し込む暴力教師鬼頭に悪感情を抱いていたが
理不尽な鬼頭の暴力に逢い「殺意」が生まれ、
馬の形をしたボンバを呼び出すきっかけとなる。

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ボンバは、主人公が「人間を憎む」負のエネルギーに
よって出現する巨大な馬の形をした殺人兵器だ。
男谷の「殺意」を汲んだボンバは、鬼頭を襲い、
「完全犯罪」が成立。男谷の殺意は両親にも向かう。
権力を持った人間特有の「暴走」と思春期の妄想と未熟、
人間の身勝手さを描いた傑作。

作品を読了した後の感想としては男谷はテロリストっぽい、
まさに外道である。
自分の欲望のために、手段を選ばない、社会に恐怖や
不安を与える、対象物を「神格化」するところ、
善・悪を年端のいかないこどもの尺度でしか見れない
など性格の破綻っぷりが著しい。逆恨みの頻度も多い。
後半においては、神格化していた水島の負の部分が露呈
したことで深い絶望に陥り自己嫌悪に陥るが、「殺人犯」
であることを水島に隠していた自分に対しては
自己嫌悪に陥らなかったことを考えてもひどいなと思う。

「ガラスの脳」

母体にいるときに電車事故に遭遇した少女は、生まれた瞬間から
「眠り姫」となり、17年間起き上がることはなかった。
入院していた少年だった私は、彼女が十歳を過ぎた頃
に出会い毎日のように彼女に淡い恋心を抱きながら、
彼女にキスをした。「眠りからめざめますように」と。

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そして、17歳になった彼女はついに目を醒ました。
喜びながら、彼女といっしょにすごす私だったが、
彼女は「私は五日だけしか生きられない」と言う。
私は、周りの反対をはねつけて、運命の彼女と結婚する
ことにした。彼女は、「ガラスの脳」を持った美しい人。

「ドオベルマン」

手塚治虫が出会った不思議な絵描きドオベルマンは、
相手の考えていることがわかる超能力を持った謎の男。
彼は一度絵を書き出したら、ものすごい勢いでへたくそな
絵を紡ぎだしていく。
しかしそれは、宇宙からのメッセージであり、
宇宙人の姿や、恐ろしい地球の未来を暗示したものだった。

「赤の他人」

ある日、主人公は生活に違和感を覚えた。
両親が、普段と違う別の顔をしながら、自分のことを
話していた。両親は、文字通り赤の他人かもしれない。
いや、他人どころか……。

周囲に対して、疑問や違和感を覚えはじめた主人公は
人を全く信用できなくなり、自分の人生にはシナリオがあり、
自分はそれに沿った生き方を強要されている……と考え出す。
そして、真相解明に乗り出すのだが。

「蛸の足」

蛸はエサがないと、自分の足を食べる
という事実から紡ぎ出された短編ホラー。グロテスク。

「バックネットの青い影」

プロ野球選手(正確には2軍)である主人公は、エースを
呼び出し、彼が試合中に飲んでいるあやしげな薬の秘密を
聞き出すことに成功する。主人公があやしい薬を飲むと、
青い影が現われて、彼に成功の道を切り開くのだが……。
ラベル:短編集 手塚治虫
posted by おすすめ漫画、漫画百選、漫画名言 at 06:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 BJ、どろろ、ブッダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【安寿(あんじゅ)】管理人
 自称「漫画のソムリエ」
 埼玉出身、趣味でブログを
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 本屋が好きです。
 
 幼少の頃から
 漫画が大好きだった私が
 まさか漫画家になるとは
 誰も予想しませんてした。
 そして実際なりません
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