草食系男子魚住リクオ。森ノ目を想う早川も参戦。
遅々として進まない恋愛関係、こじらせて面倒くさい
主要キャラ4人の青春群像劇と恋の行方は?
やりたいことが見つからず大学を卒業しコンビニバイトに
甘んじていたリクオ。廃棄弁当をカラスにやっていたら、
「私もほしい」という妙な女の子がやってきた。
カラスを肩に乗せた変わり者の野中晴はたびたびコンビニに
やってくるようになる。また、故郷である金沢で仕事を
していると思っていた森ノ目しなは都内に帰り教職に就く。
リクオは彼女を想うが、彼女には死別し忘れられない男がいた。
そして、男の弟である早川浪も彼女を追って都内の高校に通う。
食事などで彼女の世話になっている。
ハルはリクオに恋をし、想いをぶつけるが、
リクオはしなに惹かれているので断る。
つまり、こいつら四人とも片思いをしているのである。
なんてめんどい奴らなんだ…。
死んでしまった相手を想い、心にふんぎりがつかないしな。
彼女に懸想しながら、距離を縮められないリクオ、浪。
リクオとしなに遠慮して思い切ったアプローチできないハル。
物語はスローステップどころか牛歩、恋はジェットコースター
ではなく、空港の自動階段のように遅い。
周囲のモブキャラが恋愛成就していく中、主要キャラたちが
何かを言いかけて黙り込むことが多い。「制服のマネキン」か。
古風な演出によって正統派青春ラブコメを貫き通す。
ドロドロにしたくないという作者の思いからサラサラ演出。
『NANA』と対極的な作品だと言えばわかりやすいだろう。
管理人的にはこの不器用な純愛路線は高評価。
大人になりきれない、色々な気持ちを割り切れない、
こじらせキャラクターたちの姿がたまらない。
心の機微や相手の気持ちや今の相手との関係を変えたくないと
いう弱さや脆さをさらしながら、ここぞというときに
ズルいことをしないキャラに魅力を感じる作品だ。
集英社ビージャン、グランドジャンプ 全11巻