そして、悪に勝つためには「金」がいる。
天井知らずな莫大な額の金が…
今宵も命と己の存在をかけた
殺伐としたギャンブルや悪党同士の心理戦が行われる…
その日暮らしをしていた、森田鉄雄は競馬場で
得体の知れない男銀二と出会った。
銀二は、森田を観察していて、
「仕事を手伝ってくれないか?」と持ちかけてきた。
森田は銀二が10億円単位の金を取り扱うことができる
闇世界のブローカーだということを知る。
銀二は言う。
「事故を装った無罪確定のシゴトを引き受けてくれたら
5000万円やる」
森田は、一旦は断るのだが……。
ひりつくような心理戦と、ギャンブルの魅力と魔力を描き、
闇世界の住人の活躍を描いた手に汗握るストーリー。
ハイリスク・ハイリターン人生を歩み始めた森田の「成長」と
知らなきゃよかった裏世界。人の裏の顔。
圧倒的な権力を有する政治家や企業の社長などといった悪党を、
悪党である銀二が頭脳を駆使して打ち負かすストーリー。
殺人犯や、人格破綻者との対決などを描いた
毒が強い作品でもあり、心にしこりを残す場面もあるが、
社会の持つ悪しき構造や矛盾点、問題点を指摘した
傑作でもある。物語の展開が早いのも好印象。
「カイジ」が好きな方には、特におすすめ。
心理戦を描いた傑作マンガである。
全11巻。文庫版全8巻。ワイド版全5巻。
「金と銀」と間違われ、呼称されることが多い。
〜森田鉄雄〜
競馬ジャンキー。家族は死別・兄弟なしという境遇。
つまりいざというときに拠り所になる者も
心残りになる存在もいない。
銀二はその点も高く評価して仲間にひきこんだ。
作中窮地に陥った際に発揮する頭脳明晰で気転の利く性格は
銀二が見込んだ能力以上だったようだ。
ビッグになりたいし、金をつかみたい!という欲望はあるが、
金に汚くない・根っこに品性を感じる高潔な性格。
強運の持ち主であり、そういった点も銀二ら悪党どもから
高く評価されている。胆力もあるが、どこかしら優しい(甘い)
部分があり、人の弱みに付け込めない純な部分も併せ持つ。
彼の魅力であると同時に、アキレス腱とも言える。
超人銀二に対し、強い憧れを抱き、
「いつか銀さんを超えたい!」と考えている。
〜平井銀二〜
闇世界で、メキメキのし上がってきた敏腕のブローカー。
頭脳・気転・格闘能力・駆け引き・人心掌握などの天才であり、
人脈もあるというまさに超人。将棋の「銀」というより、
チェスのクイーンの能力を持つ、キングの器の風格。
億単位の巨額の金を有する。
警視庁OB・元検事・元記者といった悪党仲間を有し、
企業相手に仕手を打ったり、巨大企業相手のギャンブルを
セッティングしたりと「金儲け」に余念なし。
森田のことを目にかけていて、自分の後継者にしようと
ハードルの高い仕事をぶつけてくる。
夢は、日本のあらゆる企業を牛耳ることである。